急性腎盂腎炎・急性巣状細菌性腎炎・腎膿瘍・気腫性腎盂腎炎

急性腎盂腎炎
【同意語】
・Acute pyelonephritis

概要】
・下部尿路感染からの上行性感染などにより、腎盂から髄質を介し腎実質へ炎症が波及したもの。

原因】
・下部尿路感染、尿管結石や腫瘍による尿管閉塞、神経因性膀胱、前立腺肥大、小児では膀胱尿管逆流症(VUR)。

分類】
【症状】
・発熱、腰背部痛(CVA tenderness)。

【検査所見(画像検査以外)】
【単純写真】

【超音波】
・腎の軽度腫大、低エコー域。

CT
・腎の軽度腫大。
腎周囲腔脂肪織の索状の濃度上昇(stranding)。
・散在性の楔状の比較的境界明瞭な造影不良域(血管のスパズムにより小葉と一致する)
・散在性の斑状の境界不明瞭な淡い造影不領域(進行して低吸収値化してくると膿瘍に至る)。

【MRI】
【治療】

鑑別】
・限局性腎梗塞、腎腫瘍性病変

読影レポートのポイント】
参考資料

【症例1】
・60歳代前半、女性。右下腹部痛、発熱。
・右腎に水腎症(下部尿管結石による)、腎周囲脂肪織濃度上昇、楔状の軽度の散在性造影不良域あり。
(a=動脈相, b=門脈相, c=排泄相) 

a  b  

【症例2】
・50歳代前半、女性。左側腹部痛、発熱。
・左腎の軽度腫大、斑状〜腫瘤状の散在性造影不領域あり。
・急性巣状細菌性腎炎に相当(もしくは近い状態)の画像所見を呈している(両者は文献上も曖昧)。
(a=動脈相, b=門脈相, c=排泄相)

a  b  c
 

急性巣状細菌性腎炎
【同意語】
acute focal bacterial nephritis (AFBN)

概要】
・基礎疾患のある患者に生じる急性腎盂腎炎の劇症型で、腎実質の腫瘤状の炎症を来すが、膿瘍は形成していないものを言う(膿瘍の前段階に相当)。

原因】
・基礎疾患糖尿病、肝硬変、悪性腫瘍、膀胱尿管逆流、神経因性膀胱、ステロイド投与など)などが背景にあり。
・大腸菌などのグラム陰性桿菌の上行性感染が多いが、腎盂腎炎より多岐に渡る。

分類】
【症状】
・発熱、側腹部痛

【検査所見(画像検査以外)】
・尿検査での血尿や膿尿の検出率は20~30%と高率ではない。

【単純写真】

【超音波】
・腎の軽度腫大、低エコー域。
CT
・散在性の斑状の境界不明瞭な淡い造影不領域(急性腎盂腎炎との違いが曖昧だが、より腫瘤状のものを言うか。進行して低吸収値化してくると膿瘍に至る)。

【MRI】
【治療】
鑑別】
読影レポートのポイント】
参考資料


腎膿瘍
【同意語】
・renal abscess
 
概要】
・実質内に限局して膿が貯留したもの。病態が進行し、被膜下や腎周囲腔に膿瘍を形成したものは、腎周囲膿瘍と呼ばれる。
 
原因】
・大部分はE. coli による上行性感染(急性腎盂腎炎からの移行)であるが、Staphylococcus aureusによる血行性感染や、リンパ行感染も原因となりうる。
・VUR、尿路結石や前立腺肥大による排尿障害、神経因性膀胱などの基礎疾患が原因となることが多い。血行性感染は糖尿病患者や、免疫不全患者が多い。
 
分類】
・急性膿瘍
・慢性膿瘍
 
【症状】
・慢性膿瘍では症状に乏しい。
 
【検査所見(画像検査以外)】
【単純写真】
【超音波】
・内部エコーを伴った嚢胞として認められる。
 
【CT】
・内部の造影効果は低く、壁は造影されるため、リング状の嚢胞性腫瘤として認められる。
・患側腎の腫大や、内部にガスや液面形成を認める場合もある。
・炎症が周囲に波及すると、Gerota筋膜の肥厚や、腎周囲脂肪織の濃度上昇を伴う。
 
【MRI】
【治療】
・ドレナージなど、外科的治療が必要となることが多い。
 
鑑別】
・嚢胞性腎癌:膿瘍の場合、嚢胞壁は早期相ではなく、遅延相で濃染される。
 
読影レポートのポイント】
参考資料】

気腫性腎盂腎炎 
【同意語】
・emphysematous pyelonephritis
 
概要】
・急性腎盂腎炎の劇症化したもので、腎実質や腎被膜下にガスを認めるもの。大部分は糖尿病合併患者である。進行が早く、早期から敗血症となり、致死率も高い。
 
原因】
・嫌気性菌(大腸菌、クレブシエラ)の感染。これらの菌が、腎実質内で嫌気性解糖を行い、二酸化炭素を発生させることにより気腫が生じる。
 
分類】
・画像所見より、以下の2つのtypeに分類される。typeⅠはtypeⅡより予後が悪く、致死率も高い。
 typeⅠ:放射状、斑状、もしくは腎被膜下のガス像を伴った腎実質の破壊があるが、液体貯留や膿瘍を認めないもの。
 typeⅡ:泡沫状あるいは限局したガス像を認め、腎または腎周囲の液体貯留や膿瘍を伴うもの。
※ガスが腎盂・腎杯に限局し、腎実質へ及んでいないもの(気腫性腎盂炎:emphysematous pyelitis)はこれらより予後は良い。
 
【症状】
・腎盂腎炎に準じる。
 
【検査所見(画像検査以外)】
【単純写真】
・腎の位置に一致してガス像が見られる。

 
【超音波】
CT
・上記の通り、ガス像が見られる。
 
【MRI】
【治療】
・急性腎盂腎炎に準じるが、進行が早いため、早期からドレナージや腎摘といった外科的な治療が必要となる場合が多い。
 
鑑別】
読影レポートのポイント】
参考資料